- 海の旧字体は母
「リーディング・テーブル」の実際例 ~その2~
進行 それではリーディング・テーブルの経験者ということで、二番手は
自分で参ります。
進行 これは 先月、読んだ本になります。
現代文の大学受験参考書になります。
タイトルは、『 大学入試 無敵の現代文 記述攻略メソッド 』
( 小池陽滋、かんき出版 )。
著者の小池陽滋先生は、国語教育にたぎるような情熱を持たれてい る方なんです。
授業も非常に分かりやすいんですよ。
なぜ、こう言えるかというと、小池先生の父兄向け公開授業に出席
した経験があるからなんです。
もちろん、父兄のフリをして、もぐりこんだわけですが。
一同 マジですか?( 笑 )
進行 この本が従来の現代文参考書と一線を画しているのが、出題された
評論文のロジックの流れに沿って、「 本文メモ 」を作成しましょう
という点を、明確に主張されている点かなと思います。
わりと解法重視の参考書が多いですから。
それが現代文読解の真の基礎力になるとおっしゃってます。
ところで皆さんは、現代文の出口汪先生をご存知ですか?
一同 はい、知ってます。
進行 出口先生が読解力養成をテーマにした本で述べられているものに、
「 ストックノート 」というものがあるんです。
要は、読んだ本の論旨をノート化していくこと。
この「 ストックノート 」の作成とそれを見返すことで、知識を
身に着け、次の読書や現代文問題に臨んでいきましょうというもの
なんですね。
ただ、自分が読んだ出口先生の本の中では、大まかな作成方法しか述べ
られていなかった。
そのため、いざ実行する段になると、自己流にならざるを得なかった
わけなんです。
そこに踏み込んで焦点を当てているのが、小池先生の本なのかなと
思います。
進行 「 本文メモ 」の作成そのものが、読解力養成につながるという小池先生
のお考えは、受験生だけでなく社会人にも非常に重要だと思うんです。
読解していったものが、私たちの思考の枠組みをかたち作って行くわけ
ですからね。
その意味で、読書好きの皆さんにもおススメの本になります。
一同 なるほど~。
進行 アッ!、
おススメする必要はないと言っていたのに、やっちゃいました ( 笑 ) 。
以上になります。
進行 それでは、三番手にBさん、お願いします。
Bさん 自分が紹介するのは、「 荒蝦夷( あらえみし ) 」という仙台の出版社
から刊行されている本です。
タイトルは、『 みちのく怪談名作選 Vol.1 』( 東 雅夫・編 )。
この「 荒蝦夷 」という出版社は面白い出版社で、社員が三人しかいない
んですけど、東北地方に関する本を出してるんです。
この本は怪談のアンソロジーなんです。
東雅夫さんの本になります。
皆さんは、東雅夫さんをご存知ですか?
進行 はい。怪談で有名な方ですよね。
Bさん 幻想文学や怪談とかの界隈では、知らない人がいないっていうぐらいの
方なんです。
あの、『 怪と幽 』( KADOKAWA )ていう雑誌があるんです。
以前は、『 怪 』と『 幽 』とで別々の雑誌だったんですよ。
『 怪 』は妖怪専門誌。
一方の『 幽 』は、怪談専門誌だったんです。
一同 マジか!(大笑い)
Bさん 柳田国男の『 遠野物語 』で有名な佐々木喜善や宮沢賢治。
それに、太宰治や斎藤茂吉などの作品などが選ばれているんです。
その中でも異色なのが、寺山修司の2本のルポルタージュ、
「 キリスト和讃 」と「 恐山 」。
このうち「 キリスト和讃 」の方は、青森県の三戸という場所に、
あのキリストが来ていたっていう伝承についてのものなんです。
一同 (一瞬、目が点になる)
Bさん ゴルゴダの丘で十字架にかけられたのは実はキリストではなく弟の
イスキリであって、キリスト本人は青森まで逃れて来て、農家のミオと
いう娘と結婚したんだ、みたいな伝承があるんです。
すごい怪しげな古文書などがあるらしくて、まー、その・・・, えっと、何だっけ?
そうそう、三戸郡の新郷村っていう所なんですけど、寺山修司が実際に
ルポルタージュのために訪れてみたっていう話なんです。
一同 わざわざ行っちゃったんだ・・・。
Bさん 一方、「 恐山 」の方は、みなさんご存じだと思うんですけど、
死者の魂を呼び寄せるイタコさんのところへ行ってみたルポです。
なんと、あのキリストを呼んで口寄せして貰ってるんです。
寺山修司本人がしてもらったわけじゃないんですけども、
そういう記事が載っているんです。
一同 エッー!?
キリストを呼んじゃったの?・・・(呆然)
進行 キリストのお墓もあって、一年に一度、「キリスト祭り」ってやって るんですよね?
一同 マジですか!
Aさん たしか「 TRICK 」っていうドラマ、昔ありましたよね。
あれみたいですね。
よく分かんない謎の村とか出てきたりとか ( 笑 ) 。
一同 あった、あった!( 笑 ) 。
Bさん この本の表紙はこんな風でして・・・。
なんか結構怖い感じなんですけど、中身は割と東北の伝承とかに
興味がある人なら結構楽しめるかなって思いますよ。
話しが上手くなくて、すみません。
一同 めちゃくちゃ面白い話しでしたよ!
Bさん この本に収録されている「 鍋の中 」っていう、井上ひさしが書いた 短編なんですけど、出典が井上ひさしの『 新釈遠野物語 』っていう 『 遠野物語 』のパロディがあるんですよ。
そっちも面白いんです。
この「 荒蝦夷 」っていう版元は、仙台のローカル出版社なので、
東京の大型書店に行ってもあんまり見かないんですよね。
まぁ、もし興味あって読みたいって思ったら、本屋さんで取り寄せる しかないんですけど。
こんな感じです。
ありがとうございます。
一同 ありがとうございました!
進行 地方出版社の本に関しては、誰かの紹介がないと、情報自体が届かない
ですからね。
一同 たしかに。
いや~、それにしても凄かった・・・。
Dさん 東北地方へ行ったら、その土地の本屋さんも訪問して、
「 荒蝦夷 」の本を探したくなりましたね。
一同 うんうん。
進行 旅行する楽しみが増えますよね。
それにしても、この本の表紙はヤバイ・・・。
一同 ( 大爆笑 )
進行 ( 笑いながら )Bさん、ありがとうございました。
それでは次のDさん、お願い致します!
「その3へ続く」