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「リーディング・テーブル」の実際例~その3~

Dさん       じゃあ、最近読んだ本を紹介しますね。


先ほど、ちょっとキリストの話が出てきたんですけど、私はムハ             ンマドの話しをします。

  歴史が好きなんですけど、まだそんなに特定の時代が好きみたいな

         「 推しの時代 」がなくてですね、いろいろ読んでいるところです。           

        最近、たまたまムハンマドについての本を読んだんです。


あの、ちょっと脇道にそれるのですが、『詳説世界史研究』とか、山川

         出版社の歴史教科書って有名だと思うんです。


けれど、その教科書を見たら、あのムハンマドに関する記述って、

         たったの 1 ページしかなかったんですよ。


大天使ガブリエルから神の言葉を受け取って死去するまで、もう             わずか 1 ページでまとめられちゃっていて・・・。


まぁ、日本の中東認識って、そんぐらいなんだろうなっていうのは、            正直、感じました。


でもこの本 ( 『 ムハンマド イスラームの源流をたずねて 』

         小杉泰・山川出版社 ) は、なかなか日本だとイメージのしづらい            ムハンマドの生涯を、200ページぐらいにコンパクトに、しかも

         分かりやすく説明してくれてるんです。



一同                面白そう~。




Dさん       3 時間ぐらいあれば読めるサイズになっていて、凄く理解しやす          かったです。



  ムハンマドが起こしたイスラム教って、今たしか10億人ぐらいの

        信者がいるんですよね。

  世界三大宗教の一つに入ってくるんです。


それで、キリスト教のイエスだったりとか、ちょっと宗教じゃないかも

         しれませんが、儒教の孔子などと比べても、圧倒的に幸福な人生を送っ

        た人なんですよね。彼自身は。



進行       たしかにムハンマドは、人生の成功者と言えますもんね。



Dさん   イエスなんて磔にされて殺されてしますし、孔子なんてずっと

自分を売り込んできたけど成功できず、弟子の育成にシフトチェ

ンジせざるを得なかったわけで・・・。


         その中でもムハンマドはですね、商売しても結構繁盛しますし、

         奥さんにも恵まれてですね、可愛い子供も娘が4人いますし。


男の子も生まれたみたいなんですけど、あの時代なんで早く亡く

     なっちゃったみたいですが、女の子が4人いますよと。


         友人にも恵まれ、神様にも選ばれて。街の市長みたいなこともやって

         ましたし。


         住んでいた町を出て、メディナっ場所に移転した時に、彼は当時は

         新興宗教的な立場だったので、元々住んでたその町とは、どうしても

         対立するんですよね。


         そうすると戦いになるんですけれども、結構、軍事的な才能もあるわけ

         なんです。


         そして最後は、9人か10人の奥さんもいてって・・・。



一同               うん、成功者だ・・・。



Dさん      一番お気に入りはアイーシャっていう45歳下の奥さん。


         ムハンマドが亡くなったのは63歳だったと思うんですけれども、          その時、その最愛18歳のアイーシャの腕に抱かれながら息を引き取る     んです。



一同                 へぇ~。



Dさん       ムハンマドは25歳で最初の結婚をしているんですが、その時、最初の    奥さんが四十歳だったんです。

15歳離れてて、姉さん女房だったんですよね。


それで、ムハンマド自体は、40歳の時に、いわゆるガブリエルから           選ばれてと言いますか、神の言葉を聞いてですね、あのイスラムの

       布教活動を始めるんですけれど・・・。


その直前、ムハンマドが山にこもってると、いきなり神様の使者が          来るわけですよね。この言葉を読めと。


でもその時、ムハンマドって文字読めなかったんですよ。



一同               えっ! そうなの?



Dさん 識字率は今と違って高くなかったので。

「 私は文字は分かりません 」って言うとですね、結構面白くて

         神様の使いのガブリエルが持ってた布袋みたいので、ムハンマドに          めっちゃ押し付けてくるらしいんですよ。

息もできないぐらいに。


         それを何回か繰り返すうちにムハンマドは文字を読めるようになった

         というエピソードが面白かったです。



一同              そんなエピソードがあったとは・・・。



Dさん ムハンマドさんが主体になって始めたっていうのが、結構ポイント

         なのかなと思ってます。


孔子にしても、彼の教え自体は弟子が広めたりだとか。


イエスなんて、自分がキリスト教徒だと思ってはないんでよね。

            

         100年後とかにイエスに会ったこともないパウロが、「 イエスは

         こんなこと言ったんだぜ 」って広めたように。


        つまり考えや教え自体が、その創始者からかけ離れることが多いんです          けれども、ムハンマド は自分が神様からこういう声を聴きましたよ。          それをそのまま私は皆さんに伝えますよって広める。

             

         そして、それを直接聴いていた人達が20年ぐらい後に、ムハンマドが

         言ったことをかき集めて、ちゃんと1つの聖典にまとめたんですね。

                  

         それが『 コーラン 』って言われるものになっていって。



一同              そうなんだ~。



Dさん       他にもそのパクリじゃないですけれども、ちょっと違う異端扱いの本も          あったんですけど、3代カリフのウスマーンが全部焼いてるので、それ          なりに正当なものが残ってるのかなと。


       その意味で、僕は結構イスラム教が好きなんですけど。


すごく面白い本でした。



一同              ありがとうございました(拍手)



進行       ちょうど今、ムスリムの方達はラマダンに入ってますからね。          とても面白かったです。


ちなみに、その本の出版社はどちらですか?



Dさん  この本も山川出版社ですね。


「 ヒストリア 」というシリーズを始めたらしくて、なんか割              とニッチなテーマを扱っていますね。


このシリーズは、切り口がちょっと変わった本が多いのかなっていう

         気がします。


そうですね、僕はこの『 ムハンマド イスラームの源流をたずねて 』          の他には、『 虎が語る中国史 エコロジカル・ヒストリーの可能性 』

        ( 上田信 )は読んだことあるんです。


      中国の昔の王墓から出てきた副葬品の中に、動物のサ                イや虎のオブジェがあるんですね。


       今でこそ、サイや虎は南方に生息している動物なんですが、古代中国の

         殷や周の時代には、身近で見られた動物だった。

   

         だからこそ、そういったオブジェが残ってるわけで。

       

         文明が少しずつ発達し経済成長すると、基本的には木を切り倒して、

         その土地を農地などにして開発していくんですよね。


         だから経済成長とともに森林を切って開発していくと、そこに生息

         していた動物たちを見かけなくなるんだよと。


         なんかそういったことが書かれてました。



一同               なるほど~。



進行       副葬品の変遷で、当時の自然環境や社会状況を解き明かそうと

         試みている本なのですね。



Bさん       あの~、すみません。用事があって15分ほど中座しますね。



進行       そうでした、そうでした。

         午後3時になったら15分ほど一時的に退席される予定でしたね。

                

         Bさん、必ず戻ってきてくださいね~。

         待ってますよ~。



Bさん      それでは一旦、失礼しま~す。





進行       Dさん、ありがとうございました。

         では次に、Cさん、宜しくお願いします。








Cさん はい。


一冊目は渡辺一夫さんの『 寛容は自らを守るために不寛容に対して

         不寛容になるべきか 』( 三田産業 )です。


        「 隣りの柿はよく柿食う客か 」という早口言葉みたいなタイトル

         ですけど・・・。


あっ、逆か!



一同      ( 大爆笑 )



Cさん 一度聞いても、3分後には忘れてしまうようなタイトルの本ですね。


         購入のきっかけが私、井坂幸太郎が好きで、『 死神の浮力 』

        ( 文藝春秋 )っていう小説の中に引用されてるんです。


        ちょうどピッタリ同じ言葉が。


         それで新宿の紀伊國屋書店の中を歩いてたら、偶然、全く同じフレーズ

         のタイトルの本を見つけたんで、「 あっ、これや! 」と思って買った

         んです。


         けど、まぁ~難しくて、難しくて(笑)。



進行       タイトルに惹かれてのジャケ買いだったんですね。  



Cさん  そうなんです。


        「 寛容は、自らを守るために不寛容に対して不寛容になるべきか 」って          いう問いに対して、渡辺一夫自身で答えを一つ出してるわけなんですけ

ど・・・。



進行       解答を出されてるんですね。



Cさん       誰の研究だったか忘れたんですけど、アメリカの研究で、

         25人に1人はサイコパスが存在するという説があるんです。


         まぁそういう研究の下で、そういう人たちを不寛容グループに属すると

         みなした場合、それ以外の人間はその不寛容の人達に対して、どう対処

     すべきなのか。


         自力救済って言っちゃったらすごい簡単ですけど、暴力を行使して対抗

         することが許されるのかどうかっていう・・・。


         簡単に言うとそういう命題です。



一同              へぇ~。



Cさん       この渡辺一夫さんは、そもそもフランス文学者さんなので、きっとここ

         から引っ張ってきたのではと思って、ヴォルテールの『 寛容論 』

         ( 光文社古典新訳文庫・中公文庫 )も読んでみようと思ったんですが、

         まだ手を付けてなくて・・・。


         渡辺一夫さんが出した答えは、不寛容になるべきではないっていうとこ

         ろで・・・。



一同              そうなのか・・・。



Cさん びっくりするぐらいキレイ事ですよね。



一同                へぇ~。(様々な反応あり)



Cさん       その理由が沢山あり、長々と述べてるんですけど・・・。


         要点をまとめると、そもそも寛容と不寛容の対立問題は、理性とか知性

         とかが成立する人間同士においてのみ成立する問題なんだと。

             


         例えば相手が猛獣だったり自然災害だったり、まあ金とか、そういうも

       のだったりしたら、論外とするべきであろうっていう点を前提にしてい

         て。         


         そこから展開していって、人間の中には猛獣的な人間もいるし、天才的          に害をなすことを嗜好する人物もいるし。


         そういった人達の存在も考慮すると、その暴力的発作が予測し得ないっ

         というか、対策をとることが不可能なっていう場合もあるだろうと。

             

      そういう場合においても、非人間的な取り扱いはしてはいけないっていう

        ジレンマがあるよね、っていう話しも出てくるんですけど・・・。              

         とても回りくどいお話です。



Aさん     まぁ、それ以外の書き方ができないですよね。



Cさん       仕方がないんですけど、やっぱりどうしても・・・。


         それでキリスト教とかの話も結構出てくるんです。


         私はキリスト教に関して全く分からないので、

         そのあたりはどうも・・・。


        これ以外にもマーサ ・スタウトさの『 良心をもたない人たち 』

        ( 草思社文庫 )という本も読んだことがあるんです。



Dさん      それ読みましたよ。面白かったです。



Cさん       人の心が分からない人間がいるという。


そういう人達の特徴を述べていって、最後にそういった人達と          いきあった時にどう対処すればいいのか。


         それをテーマにしている本だったんですけど。



一同   ちなみに、どういう結論なんでしょう?


Cさん       幸せになることが一番の報復になるっていうのがあって、私             はそれが結構面白いなぁって思いました。



一同           なるほど。

   そうですよね。



Cさん      なんかすごい普遍的な真理を述べただけですけど・・・。


         まぁ結局、この本( 『 寛容は自らを守るため不寛容に対して不寛容にな

         るべきか 』)も、それに通じるところがあるんだおうなって。

             

       不寛容に対して不寛容になっちゃいけないけど、でも何か別の方向で

自分の身を守ることはできるよねみたいな。


         そういう感じの本です。



一同           ( うなずいている人が多い )



Cさん       随筆なので、がっつり論点に臨んでいる本ではないんですけど、

         本当に徒然なるままに書いているんですよね。


         それとこの本の装丁、綺麗ですよ                         私は好きです。


         こんな感じです。 

以上でーす。



一同              ありがとうございました~。




進行       Cさん、ありがとうございました!            

今、午後3時10分になるところです。

         10分間、休憩取りましょう。




          ( ~その4へ続く )


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