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「リーディング・テーブルの実際例」~その8~

最終更新: 6月12日


進行    では次はCさんですね。お願いいたします。

二回目になりますね。



Cさん      はい、そうです。


        (シェイクスピアの作品を見せながら)

二回目は、堂々と文藝作品で攻めます!



一同               オオッー!



Cさん      昨日も読んだんですけど、『 ハムレット 』1作品読むのに、白水社の

        小田島訳ハムレットと、新潮文庫の福田訳ハムレット。


        同じく新潮文庫の『 深読みシェイクスピア 』( 松岡和子 )

        と『 快読シェイクスピア 』( 河合隼雄・松岡和子 )。


        さらにトム・ストッパードというチェコ出身でイギリスの劇作家の

        『 ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ 』も読みました。


        このトム・ストッパードの作品は、『 ハムレット 』にちょっとだけ出て

        くる2人のキャラクターを主役にしたものなんです。

        いわばスピンオフ作品になります。


        ハムレットの友人達を中心にして、まぁ、ひっくり返して書いた戯曲にな

        るんですけど。


        これらを参考文献として読みました。



一同             すげ~(驚嘆の声)



Cさん      あとあれ、岩波文庫の『 旧約聖書 創世記 』も読みました。



一同              おおっ~



Dさん      なかなかですね~。



Cさん      ヨーロッパの方のお話しは、聖書から引っ張ってくることが多いんです

        よね~。

        だから、多少は『 聖書 』の知識もあった方が楽しめるんですよ。



進行      たしかに前提知識や背景知識があった方が、より楽しめますもんね。

        特に古典と言われるものや西洋の作品は特に。



Cさん      翻訳の読み比べがあるのでお察しかもしれないのですが、複数回目の

        『 ハムレット 』になります。


まぁシェイクスピアの復讐劇の中から、一番の復讐劇を挙げろって言われ

        たら、きっと多くの人は『 ハムレット 』って言うと思うんですよ。


        でもぶっちゃけ、私そんなそういうふうには思えなくって・・・。


        最後の五幕目でハムレットは一応、復讐を果たすんです。

        けど、なんかその場の目的が復讐をするために剣を持ったわけじゃない

        んです。


        逆に復讐されてもおかしくない加害者側の相手の方が、ハムレットを殺す

        ために剣の試合を持ちかけてきてるんです。     


        あくまでもハムレットは、どちらかというと受け身側の立場なんです。



一同               へぇ~。



Cさん      で、その決闘の最中に、傷を負ったハムレットがもう死ぬかもしれないっ

        ていうタイミングで互いの剣がスルリとすり替わっちゃうんです。


        それで、逆に毒が塗られた剣をハムレットが手にしちゃっうって状況に

        なるんですよ。


        それをハムレットが知って、じゃあお前も死ねよって言って殺しちゃうん

        ですけど、それまでの第1幕から第4幕までは、もう本当にずっと悩んで

        るんです。

        


        めちゃ悩んでる。

        独白がクソ長い。


        とにかく自問自答を繰り返し、今なら殺せるぞってタイミングでも、

        その殺す相手が神に祈ってるから、今その時じゃないと躊躇しちゃう。


        不意打ちできる時に殺しても、(それでは復讐として)意味ねえよって

        言って、痩せ我慢しちゃうような人なんですね。



一同              分かる、分かる。



Cさん      私はまず1回目は、ハムレットのストーリーをまぁ追えたらいいかなと

        思って読みました。


        2回目は、悩める青年としてのハムレットに焦点を当てて読んで。


        そして3回目読んだ後、私、昨日 Twitter でめちゃめちゃ長々と講釈を

        たれちゃったんですよ ( 笑 )。



一同              ( 大笑い )



Cさん      ハムレットにはホレイショという友人がいるんですけど、3回目に読んだ

        ときは、ホレイショとの友情という視点から読んだんですよ。

        

        彼はハムレットの大学の友人なんです。


        ハムレットは、国王であるお父さんが死んじゃった時に、葬儀のため

        デンマークに戻ってきたんですね。

        その時に再会するんですけど、いきなり会話が「 何でデンマークに関係

        ないお前まで戻ってきたんだよ、ホレイショ。」みたいなことを言うん

        です。


        それに対し、ホレイショは、「 つい大学をサボりたくなってさ~ 」と

        答えるんですが、ハムレットが「いや、ホレイショに限ってそんなこと

        ないよ~」みたいな話をするんですね。


        まずハムレットって王子様なので、めちゃめちゃ高貴な身分なんです。

        その人に対して、まぁ学友とはいえ、「ついサボり癖が~」などと、

        うち解けた感じの話ができちゃうだけの友情があるわけなんですよ。


        この段階で、この友情めちゃくちゃいいじゃん!って思うわけですね!!



一同                ( 大爆笑 )


Cさん     それで中盤に差し掛かっても、ハムレット自身は、自分のお父さんを殺し

        た相手が誰なのか、未だ確信が持てないんですね。


        そこで一計を案じわけ。

        それはある役者に、父王殺害の場面を演じさせるというものなんです。



一同             うんうん。



Cさん      それを見て動揺した者が真犯人だと、目星を付けることができるだろう         と。      


        まぁ、カマをかけてみるわけなんです。


        そこでハムレットは友人のホレイショを指名して、誰が動揺したのかの

        監視役をゆだねるんですよ。

        ホレイショのことを、そこまで信頼しているんですね、ハムレットは。


        この美しい友情に、私はどうしても感情移入しちゃうんですよ~。

        この段階で、もうめちゃくちゃ良いじゃないですか。



Aさん      いや、もう全幅の信頼ですよね。



Cさん      その場面に出てくるのが、スピンオフ戯曲のローゼンクランツとギルデン

        スターンなんです。


        この二人はお金を貰ったうえで、ハムレットの監視役になるんですね。

        まぁ、小悪党的な脇役なんですけど。


        私、この二人って絶対ホレイショーとの対比構造だと思ってて。

         打算で動いてるんですよ、友人扱いではあるけれど。



一同              なるほど~。



Cさん      かたや金を貰い敵方に転ぶ者。

        かたや、全幅の信頼関係に基づく純粋な友情。

        そのような対比構造になっているんですよね。


        この端役の二人がいるからこそ、そのもう一人のちゃんとした友情が

        際立ってくるのかなって、私は思ってます。


        で、最後に、まあシェイクスピアの戯曲って

     『 トロイラスとクレシダ 』っていう話を除いて、基本的に登場人物は

        みんな死んじゃうんでよ。


        ハムレットも例に漏れず死ぬわけです。


        そしてヒロインのオフィーリアも途中で死んで、母ガードルードも毒酒を

        飲んで死んじゃって。


        本当に皆死ぬんですけど、一応、ハレイショは生き残るわけですよ。

        ハムレットが息を引き取る際、自分もあとを追うよって言って、毒入りの

        お酒の残りを飲もうとするんです。


        でも、ハムレットがそれを止めるんです。

        いや、これでお前まで死んじゃったら、真実を語り継いでくれる者がいな

        くなってしまうと。


        つまり、こういう事情があってみんな死んだんだよっていうところを、

        ちゃんと語ってくれる人が誰もいなくなっちゃうじゃないか。

        それは困る。

        だからお前は死ぬなって、止めちゃうんです。


        生きて、正しい顛末を伝えて欲しい旨を遺言して、死ぬわけなんです。



一同               うんうん。



Cさん      私は基本的に解釈違い上等なんで、私見を述べると、それはあくまでも

        口実に過ぎなくて、ハムレットのホレイショに対する、まぁ生きてくれっ

        ていう友情の現れだと思うんです。


        律儀なホレイショに上手く合わせた口実の背後には、とてっも美しい真の         友情があるんだよと。



一同               おおっー!!



Cさん      どうしても友情とか、そういうプラトニックな方が私は好きなんで、

        このように解釈してるんです。


そう、『 ハムレット 』は、熱くて美しい友情物語なんだよと。



一同               素敵だな~!



Cさん      私はついに、Kindle の読み放題なんですけど、

     大山俊一訳の『 ハムレット 』にも手を出しちゃって読んでるところ

        なんです。



一同               ええっー! 凄い~。



Aさん      そういえばハムレットが好きな人って、いろんな訳で読んでますよね。         知り合いにもいます。



Cさん      翻訳によって作品のテイストが全く違うんですよ~。

        特にシェイクスピアって「 言葉の魔術師 」って言われるぐらい、至る

        所に「言葉遊び」が出てくるんです。

        英文で韻を踏んだりして。



一同               はいはいはい(皆、うなずきながら)。



Cさん      それをどうやって日本語で韻を踏もうかなっていうのが、翻訳者の一種の

        「 腕の見せどころ 」なんですよね。


        その中でも松岡和子さんっていう翻訳家の方。

        先ほど紹介した本も書かれてる方なんですが。


        例えば「 彩の国 シェイクスピア 」っていう、吉田鋼太郎さんが演出

        されてる演劇シリーズがあるんです。


        このシリーズ舞台の翻訳を、松岡和子さんが、毎回のように担当して

        らっしゃるんですよね。


        それでこの人の場合は、舞台上で役者さんと訳をすり合わせながら、

        翻訳していってるんです。

        演じる側だからこそ感じられるものがあるらしくて、何かこの訳のこう

        いう意味はどう なの?みたいな。


        そんな感じで、現場で作り上げていくみたいなんです。

        なんかそういうのがあるらしいんですよ。

        まぁ、それは別のこっち(『 深読みシェイクスピア 』や『 快読シェイク

        スピア 』)に書いてあるエピソードなんですけど。



一同                へぇ~。



Cさん      シェイクスピアの作品は小説ではなくて、演じられることを前提にした

        戯曲なんですね。


        役者さんに演じられるっていう、「 舞台 」っていう視点からの翻訳。

        これが松岡さんの魅力なんですよ。


        松岡さんの訳は、基本的に分かりやすくて優しさにあふれてるんです。



Aさん      いや~、とても面白い話だ。



進行      自分は福田恒存訳を読んだのですが、言葉遊びのところの訳が、自分には

        一番ピッタリきたんですね。

        それで福田訳を選んだんです。



Aさん      あっ、そうか! 

        演じるという点に比重を置いた訳と、言葉遊びに比重を置いた訳では、

        同じ『 ハムレット 』でもテイストが違ってくるんですね!



Cさん      そうなんですよ。全然、違ってくるんです。



Aさん      興味深い話ですね~。



進行      シェイクスピア作品の解説ですと、他に・・・あの、何ていう方でし

        たっけ?

        ほら、短編の名手と言われてる方・・・。

        あっ、思いだした。

        阿刀田高さんです。



一同              あ~、はいはい。


進行    この阿刀田さんの『 シェイクスピアを楽しむために 』( 新潮文庫 )

        も、とても分かりやすい解説でおススメですね。



Cさん   その本、読みたいです!



進行      シェイクスピアの悲劇って終盤に近付くと、

        わりと「 ピタゴラスイッチ 」みたいな感じで、登場人物達が

        パタパタパタッて死んじゃうんですよね~。



一同              ( 大爆笑 )



Dさん     「 ピタゴラスイッチ 」って、ハハハハハッ!



Aさん      それも気分がスッキリする理由なのかな~。

人間の本性に根ざしてるんでしょうかね?

      みんな死んじゃったよ~、みたいな。 



Cさん      シェイクスピアって、基本的に人の名前がタイトルになってる作品は、

        一般的に「 悲劇 」なんですよ。


        それ以外は、喜ぶ方の「 喜劇 」が大半で。



Aさん      はい、はい、はい。



Cさん      そのうちのイギリスの王様の名前がタイトルになってるのが、だいたい

        「 歴史劇 」って呼ばれるものですね。


       シェイクスピアの晩年の方になってくると、悲劇も喜劇も全部混ぜこん

        だ「 ロマンス劇 」って呼ばれるのが出てくるんですけど。



Aさん      悲劇も喜劇もミックスしてるのが「 ロマンス( 劇 )」なんですね~。



Cさん      そうなんです。

    『 テンペスト 』なんかがそうですね。

     『 ペリクリーズ 』とか『 シンベリン 』あたりから、そうなってくるん

        ですけど。



一同              そこまでくると、分からない。



Cさん      一応、シェイクスピアの全作品を読んでるので~( 笑 )。



一同              おおっー、スゲ~!!



Aさん      シェイクスピア全作品を読んだって、凄いですよね!



Dさん      ここまでくると履歴書に書けますよね。

      特技欄などに。



一同              ( 大笑い )



Aさん      インパクトありますよね~。



Dさん      一度、この人と面接で話してみたいってなりますもん!



一同              確かに、確かに ( 大爆笑 )



進行      Cさんのようにシェイクスピア作品に詳しかったら、美術館の展覧会でも

         作品世界の背景が少し分かったりして、楽しめると思いますよ~。


        ミレイの「オフィーリア」の絵などは、あまりにも有名ですもんね。



進行      ちなみにCさんは、映画やドラマなどで、これってシェイクスピアっぽい

        よねって感じることはありますか?



Cさん      それっぽいな~ぐらいなら、沢山ありますよね。

        それこそ、シェイクスピアぽいどころか、ストレートにそのままじゃん!

        てのもあるぐらいですからね。


        有名どころでは、「 ウェストサイドストーリー 」って『 ロミオとジュリ

        エット 』そのものですし。



進行      今風に言うと、対立抗争する「 半グレ集団 」を舞台に云々ですもんね。

          


Cさん      アメリカ映画の「 恋のから騒ぎ 」とかも、シェイクスピアの『 じゃじゃ

        馬ならし 』のオーマジュですからね。



一同              うんうん。



Cさん      面白いのは、シェイクスピアの戯曲に『 から騒ぎ 』という喜劇もあるん         ですけど、こっちはスルーされてて ( 笑 )。



進行      なるほど!


        映画「 恋のから騒ぎ 」の本歌にあたるのは、タイトルが似ている

        『 から騒ぎ 』じゃなくて、『 じゃじゃ馬ならし 』の方なんだというん         ですね。


Cさん      そうなんですよ~( 笑 )。



進行      Cさん、すごいですね~。

        面白い話、ありがとうございました!



一同              いや~、面白かった!



Dさん      勉強になりました。



Aさん      勉強になるわ~。



進行      今、16時半を過ぎたところです。

        あっという間でしたね~。


        17時過ぎには終了させる予定なのですが、「 リーディング・テー

        ブル 」をやってみて、感想は如何でしたか?




                    「その9」へ続く

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