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「リーディング・テーブルの実際例」~その4~

最終更新: 6月12日

進行      今、午後3時10分になるところです。

         10分間、休憩取りましょう。




           ( 休 憩 中 )




      ※休憩中に、Bさんがオンラインに復帰してくる




Bさん      Cさんの順番はどうなりましたか?



一同       ちょうど終わっちゃったよ~( 笑 )。



進行     今、休憩中なので、みんなリラックスしてね~。



Aさん   休憩時間中ですが、サイコパスの話でちょっと思い出したんです。

              

         学校のクラスに、例えば30人くらい子供がいたとします。

         それで、大体30人に1人くらいの比率でサイコパス的なイジメっ子て          いるらしいんですね。


         そいつが誰かをターゲットにイジメをした場合に、そのイジメの程度は          どんな要素で左右されるのかって研究があるんですよね。

              

         なんか、「 囚人のジレンマ 」というか、「 ゲーム理論 」みたいな研究

         してる人なんですけど。

         山岸俊男さんっていう社会心理学者の方なんですけど。

        「 信頼 」の研究もされてますね。


         それで結論は、傍観してる人数の比率らしいんですね。


         いじめる人といじめられる人がいて、そのクラスのうち、例えば10人ぐ

      らいが傍観するか、それとも11人が傍観するかといったような、何らか

         のボーダーライがあるらしいんです。

              

         そのボーダーラインを超える傍観者がいると、イジメが酷くなっちゃう

         みたいな。


         だから不寛容か寛容かとは別に、傍観しない人の人数が大切だって言っ

         てる研究者もいるんですよね。



Cさん      まるで日和見菌の比率みたいな話しですね。



Aさん      まさに、そうなんですよね~。





※ ここで、遅れて参加予定だったEさんが、オンラインに登場!





進行       Eさん、お忙しい中ありがとうございます!

たしかスケジュールの都合で、1時間しか参加できないんですよね。

         

     

Eさん      そうなんです。

         よろしくお願いします。



進行      こちらこそ、よろしくお願い致しますね。


         あっ、休憩終了予定の時刻となりましたので、

         再開しましょう。


         ちょうど一周しましたので、Eさんから始めましょうか。



Eさん ( 某大学の学部生であるとの自己紹介の後 )

         フランスの現代思想が好きです。



一同              フランスでつながった!

         ( 渡辺一夫 → フランス文学者 → フランス現代思想 )



Eさん       最近、Twitterで、プルーストの『 失われた時を求めて 』の原書を

         一文ずつ訳していくというのをやってるんです。



一同  オオッー、凄い~!



進行       参加していきなりというのもあれなのですが、今月読まれた本について

         紹介いただけますか。


         気軽にしゃべる感じでいいですからね、ホント。



Eさん      はい。分かりました。

         そうなると、やっぱりこれになるんですが、

        ( フランス語の『 失われた時を求めて 』を差し出し )

        画面共有してもいいですか?



進行       どうぞ、どうぞ。



Eさん      PDFになるんですが、これが1ページ目で、こっちが2ページ目。

毎日、午前9時と正午に日本語に翻訳してるんです。

        今、訳しているのがこの箇所です。



Aさん      これで1文なんですね。

      それにしても長い!



Eさん      プルーストの特徴をあげるとすれば、1つの文章がホント長いんです。

             

         例えばこのページでいうと、( カーソルで示しながら )

         16ページのここから、18ページのここまでなんですよ。


ただ、実際には、文の途中にあるこの記号 (「 ,」)。

         この箇所で途切れているので、訳す時はこの記号までになるんですね。

            

         フランス語はこのように、一文の中で、どんどん後ろに表現をくっつけ

         ていく言語( 後置修飾 )なので、ただでさえ長くなりがちなんです。 

        

        さらにプルーストは自分が言った言葉に対して、連想ゲームみたいに

        メタファーを次から次へと、くっ付けていく癖があるんですよ。



一同        へぇ~。



Eさん      えーと、例えば、これが原書の2ページ目の翻訳になるんですけど、主          人公の「 私 」が、夢うつつの状態なんです。

頑張って寝ようとしてるんですけど、意識が夢の中に出たり入ったりし

         ている。

そんな状態なんですね。


         目を閉じた時の暗闇がホッとするような感じだったんですけども、ここ          を見てください。


        「 その暗闇は理由のないようなものに、不明瞭なものに思えた 」から、

         なぜか汽車っていうメタファーを持ち出してくるんです。


        その汽車の「 汽笛 」から、まずは「 鳥のさえずり 」というメタファー

         が続く。


         そして先ほどの「 汽車の汽笛 」から、今度は「 駅 」が連想されてき

        て、そこから「 駅のある、平原の広がり 」が生じてくる。


         すると、さらに、「 駅を取り囲む街の中の風景 」がプルーストの脳裏を

         よぎってくる。


         こんな感じで、ひとつの単語を出したら、連想ゲームのようにドンドン

         広がっていって、それが『 失われた未来を求めて 』の作品世界を構築

        していってるんです。


         自分には、それが面白いなって感じられるんですけど。



一同            ( 集中して聴いている )



Eさん      そうそう。ここですよ。

枕に自分の頭をもたれかけるんですけど、その比喩がなんか、「 枕の

        表面は中身は詰まっていて、爽やかであり、私たちの少年期のほほのよ          うであった 」っていう。


         こんな感じで、不思議な表現も使ってくるんだなと。


         これも訳してて面白いなってところですね。



一同              すげ~



進行       翻訳に挑戦しようとしたきっかけは何だったんですか?


Eさん      在籍している某大学の読書会に参加してるんです。

     そのメンバーから、「 新型コロナの自粛で時間があるからこそ、普段、

        絶対に読まない本でもやろうや 」っていう話が出て。


         じゃあ、これだなっていうことになり。



Aさん      読まないわ~、たしかに。



Eさん       せっかくならフランス語が読めるし、原典で読もうかということになっ          たんです。


         で、PDFで無料公開されているので、これ訳してみますわ、ということ

        になって、今、日本語にしてるんですけど。


         ・・・楽しいですね、ホント。       

         訳していて、フランス語っていう言葉の可能性を感じるというか。

日本語もそうなんですが、普通の論理展開なら繋がらないような言葉に

         繋がっていくんですよ。


         あらためて、言語って凄いなって再認識してす。



Bさん      ラカンとかデリダとかドゥルーズの著作は、フランス語の原書で読まれ

        たんですか?



Eさん      デリダはフランス語で読まないと意味が分からないと思います。


     フランス語で言葉遊びをしている箇所があって、むしろ日本語で読ん

         じゃうと意味が分からなくなっちゃうんですよ。


         それと好きなのはレヴィナスになります。



Aさん   デリダについての日本人研究者って沢山おりますけど、そういった人達

        の書籍てどうなんでしょう?

         一般的には「 脱構築 」いう概念が有名で、それについて書かれた本は

        多いんですけれど、それらを読むのはどうなんでしょうか?



Eさん       原書を読むことをおススメしますね。


         デリダ自身が言っているのですが、言語の解釈って、無限に横滑りして

         いくってことなんですね。


         あるオリジナルというかモデルとすべきものがあって、そこから階層構

        造になっているわけではなくて、全ての解釈が模範とすべきモデルを持

        たないまま展開してるだけなんだっていう。


         そのため、デリダに関しての正しい解釈って無理なんですよね。



Aさん      v自己矛盾してるような感じですよね。



Eさん   そうですね。


ケースバイケースになるんですが、それについてレポートや論文など、

        ある程度の結論を提示しなければならない場合には、その不可能性を

         自覚しつつも、言いたいことを言うしかないんですけれども・・・。



一同               なるほど~。


Eさん      逆に、どういうふうにデリダを解釈していけばいいのか。


       このことを考えるためには、今、世の中に出ている全てのデリダ解釈に          目を通すのは必要だと思います。



進行       話しの流れを遮っちゃうのですが、Eさんのお話しを聴いていて脳裏を

        よぎったのが、ピエール・バイヤールの『 読んでいない本について堂々

         と語る方法 』( ちくま学芸文庫 )なんです。


         皆さんもご存知だと思うのですが、この本でバイヤールは、読んだとし          ても完璧な理解など不可能なんだから、全て未読と同じようなもの。


         解釈は人それぞれなのだから、本についてもっと自由に語ろうよと述べ

         ているんですよね。


      あくまでも連想なので、そこに今のお話しとの論理的なつながりはない

        のですが ( 笑 )。



進行       ちなみに、この「 リーディング・テーブル 」ですが、学術的な正しさ

        は求めていないんです。


         別にこじつけでもいいんですよ。

         ここは読んだ本について、気軽にしゃべり合う場ですから。

         皆さんも自由にトークしていって下さいね。

         それにしてもEさん、貴重なお話し、ありがとうございました。



進行       そうだ!

         Eさん、もう一冊いけます? 


         途中退席までの時間は、Eさん中心に回していきますから。



一同               ( 笑い声 )



Dさん      ボーナスタイムだ!( 笑 )。




       「 その5 」へと続く  


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