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「リーディング・テーブルの実際例」~その5~

進行       そうだ!

         Eさん、もう一冊いけます? 


         途中退席までの時間は、Eさん中心に回していきますから。



一同               ( 笑い声 )



Dさん      ボーナスタイムだ!( 笑 )。



Eさん      そうですね~。

        今月、読んだ本はいろいろあるんですけどね・・・。


         これ(『 From the Enemy's Point of View: Humanity and

Divinity in an Amazonian Society 』The University of Chicago

Press 』)は、エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロというブ

         ラジルの人類学者の本なんですけれど、皆さんは聞いたことあります?



一同               ないですね・・・。



Aさん         キューバのカストロしか思い浮かばない・・・。



Eさん    哲学におけるドゥルーズに、人類学では、このカストロが対応している          と言えると思うんです。



Bさん      山口昌男みたいな感じですか?



Eさん      そうですね。



Aさん      山口昌男は大好きですよ。これ(『 病の宇宙史 』山口昌男、人間と

         歴史社 )を見てください。



一同      おおーっ。



Eさん    簡単に内容だけ見てみるとですね、ブラジルの北西部のアマゾニアって

        いう場所に住んでいる「 アラビテ 」という先住民族の宇宙観とか、

         人生観・死生観というものをフィールドワークした記録なんですね。


         そのアラビテ達の宇宙観ってどういうものかと言いますと、死者の魂は          天国に着いたあと、天国に住んでいる神に飲み込まれて、それによって

        不死になるというんですね。       


         全ての人は、天国に行って神に飲み込まれて神( の一部 )になって

         というプロセスの中に生きているのだと。


         そして最終的に、今生きている自分は、自己とは異なる他者になると

         いう考え方をしているようなんです。


         これを哲学的に言い直すと、内部的な存在である自我っていうのは、

         そのまま地続きに、外部的な存在である他者とつながっていると。

         そこに本来、境界はないんだという。


         簡単に言えば、そういう考え方をしていると言えるわけです。



Bさん      西田幾多郎の「 絶対矛盾的自己同一 」を連想しますね。「 我のそこに

        汝を見る。汝のそこに我を見る 」みたいな。



Eさん      たしかに、そんな感じもしますね。


       西田幾多郎の思想にハイデガーの思想がある程度対応していて、ハイ

         デガーの言っていた「 存在論的差異 」みたいな問題が、ドゥルーズの

        『 差異と反復 』に引き継がれてみたいないところがあるので。


       遠からず、西田幾多郎とカストロの書いていることは、親戚関係かなと

         思います。



Bさん      ちなみに、邦訳は出てますか?



Eさん      出てないんですよ、これ。


       ただカストロの本は、『 食人の形而上学 : ポスト構造主義的人類学

         への道 』( 洛北出版 )が邦訳として出版されてますね。


         それぐらいだと思いますね。

         カストロで邦訳されているのは。



Bさん      面白そうですね~( 興味津々の様子 )。



進行       神様が自分の子供を食べたり人を食べたりする話は、ギリシア神話の

         クロノスなど、いろいろありますからね。


         そういった伝説としての食人行為は、なんとなく読書という行為にも

         近い要素があるかなと思いますね。

         読んで( =食べて )自分の血肉にするという・・・。


         それと先ほどの「 解釈の横滑り 」に引き付けて言うと、松岡正剛さん          がおしゃっている「 編集工学 」。

         それに近い要素もあるのかなって思っています。


         ただ、あの・・・、読んだものとのズレが編集なんだと、よく分からな

        いことをおっしゃっているのですが・・・・。



一同              ( 大笑い )



Bさん      松岡さんの「 編集工学 」って、よく分かんないですよね。



一同             ( 大爆笑!!)



Aさん      読書会でディスられる松岡正剛って・・・。



Bさん      ディスってるわけではないんですが・・・。



進行      「 編集 」や「 工学 」っていう言葉の持つ自分のイメージと違って

         いて、どうしても違和感というか押しつけ感があって・・・。



Aさん      読書会で「 よく分からない 」と言われる松岡さんって存在も、面白い          ですよね( 笑 )。



進行       ここは「 リーディング・テーブル 」です。

       自由にトークできる場ですからね。


         基本的に、何を言っても守られる場でもありますから( 笑 )


進行       Eさん、ありがとうございました!

         間に誰か挟んで、またEさんでいきましょうか。



Eさん       ありがとうございます。



進行       それじゃあ、Aさん、2回目をお願いします。



Aさん      あれですよね。

       皆さん、ものすごく深いし広いし・・・。

        いや、広く深いということで参りましたっていう感じですね~。

         別に勝負してるわけじゃないんですけれどね( 笑 )。



進行       ここは、読んだ本について気軽にトークする場ですからね( 笑 )。



Aさん      では、今回はこれ( 『 生活の質( Q、O、L、)を高める 』

         E・ディムネ、ジャン・ジャック書房 )。


         これはジュンク堂でジャケ買いしました。


         新型コロナで本屋さんも大変な時期ですから、はっきり言って購入理由

        は、もう何でもいいんじゃないかと思い、買っちゃいました。


         これ、何についての本なのか説明しずらいんですが・・・。




Aさん    途中参加された方のために言うと、先ほど、僕はこれ(『 マンゴーと

        手榴弾ー生活史の理論 』岸政彦、勁草書房)を紹介したんですよ。


         質的社会学の本なんですね。


         社会学というと、計量データを使ったりなど、数学を使ったアプローチ

         で社会を分析していくのがあるんですが、質的社会学は違うんです。


         人の語りや日記など、そういうものから社会のディテールをつかんで

        いこうとするんですね。



一同              そうでした、そうでした。



Aさん      これから紹介する本はこの「 質 」っていう要素で、先ほどの話とつな

        がってくるので、結構面白かったです。


         それで、ウ~ン、なんかね、自己啓発本なんかと意外に近いんですよ。


         例えば、自己啓発本で有名なのだと『 7つの習慣 』やナポレオンヒル

         の『 人を動かす 』などありますよね。


         それらが共通するのは、社会的に立場を高めたりとか財を大きくしてい

        くっていう方向で、主体的に考えたり良い習慣を身につけていこうって          いう点なんですね。



一同        ふんふん。



Aさん    この本は、生活の質を高めるっていうことを目的にしていて、なんか

        ハウツー本みたいな感じで面白いんですよね。


         いろんなことが書かかれてありますが、なんかこう「 使用する物 」

        にこだわりを持とうみたいなことが書かれてあるんですよね。


         例えば、いつも使ってるペンや消しゴムなど。


         ああいうものが自分の脳の一部になるから、っていうふうに書いてるん

        ですよ。

         道具というかツールにもこだわるみたいな。 



一同               道具へのこだわりか~。



Aさん    ちなみに、この本の著者のディムネっていう人と仲が良く、まぁ議論の

         相手でもあったのがジョン・デューイって人なんです。


        『 民主主義と教育 』って結構有名な本を書いている方ですね。

         プラグマティズムでも有名な人です。


         この人は、教育のカリキュラムを作る際、民主主義の社会を上手く

         回していくためにはどうすべきなのか。

        この観点からカリキュラムを考えた人なんですよ。


         つまり、民主主義の中で一市民として関与するために、教育システムを

        きっちり考えていこうとした人なんです。


         そのデューイの思想的影響もあって、一市民として完成するためには、

        数学の方程式が分かるとか職業につながる知識を持っているっていうの

        も大切なんだけれども、「 質 」的な方向で発達するっていうことも大切          なんじゃないかと言っているわけなんです。


         ディムネという人は。


         この本にはそのような内容が書かれているんです。



一同        へぇ~。



Aさん      ディムネのこの本に近いなって思ったのは、あのエーリヒ・フロムの

       『 愛するということ 』 。

         有名なフロムの本に、何か近い感じで読みましたね。


        あれは愛するっていうことは技術であって、鍛錬できるっていうことを

         書いた本なんです。


         その愛とかって、ある閾値を超えたら愛してるとかそういうことじゃ

         ないですよね。


         それって「 質 」的なものですよね。


         どのくらいのメソッドを遂行すれば、それが愛してることになるって

        いうふうに量的に換算できるものじゃないわけなんです。


         愛してるっていうのは、質的な状態であると。

         ステートなんだと。


         ある人の中にも愛してる状態と愛してない状態があると。


         そのうえで、愛してるっていう心の状態は鍛錬できるってことを言って

        るんですよね、フロムは。



一同               たしかに。



Aさん      それで、このディムネの本も、なんかそういう本じゃないかなと思って         いるんです。


         だから僕はハウツー本が一概に悪いとは思ってなくて、その how toに          なっている対象が狭いんじゃないかって思ってますね。


         目に見えるものとか量に換算できるものにだけ、その How to ってもの

        を推し進めていくことに偏っている。


         そのいびつな構造が、どっちかっていうと弊害として今、現れているの

         かなと。



一同                 うんうん。



Aさん      つまり、量として換算できるものの外側に対しては 、how to という

         ものが有効に提供されていないし、そこに留まっちゃっている人が多い

        のが現状かなと。


         それらに対し、まぁちょっと教育って観点からは良くないよねって

         いうことを、このディムネとデューイは訴えていると思うんです。


         まぁ、そんな感じです。以上でした。



進行       Aさん、面白い視点からのお話し、ありがとうございました。


         おっしゃるように、ハウツー本にも良い点はあるんですよね。


        「人文書」と「ハウツー本」ってつながる要素があるのではないか。

         または、両者をつないで読んでみてはどうか、などと考えました。



進行       それで時刻を見ますと、あと10分少々しかEさんには残されていない

        のですが、どうでしょう?

         Eさんに、再度お願いしようと思うのですが。


         何度もごめんなさいね。

         タイムセールみたいに振っちゃって。



Eさん      ( 思わず、吹き出しちゃう ) 。


いえいえ ( 笑 )。

         どうしよっかな・・・。



進行       急に振られても困っちゃいますよね~。



一同       ( 大笑い )



Eさん      読んだ本がいろいろあり過ぎて、迷ってるんですけど・・・。



進行       そうしましたら、時間稼ぎに、1分だけ自分がトークしますね。

        ( ここで時間稼ぎというキーワードから、「 ウルトラマンセブン 」の

        「 カプセル怪獣 」が脳裏に浮かぶも、口にするのを自制する )




                   「その6」へ続く 

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