シンプル抜書きノート「新しい個人主義の予兆」山崎正和
【前提】
前産業化時代→人間は「誰でもないひと(ノーボディー)」、
産業化時代→人間は「誰でもよいひと(エニボディー)」
と変遷してきたことを述べた上で、
山崎正和は次のように述べている。
【抜書き】
いまやおおくのひとびとが自分を「誰かであるひと(サムボディー)」として主張し、
それがまた現実に応えられる場所を備えた社会が生まれつつある、といえる。
これまでの日本社会では、
そういう場所は家庭と企業内の小集団のなかにあって、
そこでは、ひとびとは家族や同僚や上司から
個人的な気配りを受けることができた。(中略)
しかし、確実なことは、
今後、それらがそういう場所として唯一のものではありえなくなり、
ひとびとは「誰かであるひと」として生きるために、
広い社会のもっと多元的な場所を求め始めるということであろう。
それは、しばしば文化サーヴィスが商品として売買される場所でもあろうし、
また、個人が相互にサーヴィスを提供しあう、
一種のサロンやヴォランティア活動の集団でもあるだろう。
当然ながら、多数の人間がなま身のサーヴィスを求めるとすれば、
その提供者もまた多数が必要とされることになる(句点なし)
【一言】
・現代の「オンラインサロン」の盛況を予言したかのような山崎正和の慧眼、
まさに恐るべし。
・「読書会の普及」へのヒントになっているのではないか。
