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  • くろ

レヴュー『せんせいのお人形』①〜③巻         (藤のよう、KADOKAWA)



ここ数か月間、世界中から注目を浴びた人物がおります。

クリっとした丸い目に、何か憎めない風貌。

仕事で失敗しても、許してもらえそうな不思議なオーラ。

しかしながら、かなりの遣り手との噂も付きまとう謎の人物。


一体、誰なのか・・・?


それは世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長 (笑)。



 実はその世界保健機関(WHO)が憲章で、

「健康」を定義づけているのはご存知でしょうか。


以下、引用してみます。


「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、

肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、

すべてが満たされた状態にあることをいう」。


つまり、予防医学的な観点だけでなく、メンタルや当人を取り巻く各種状況

への配慮も必要だということです。



ところで、今回の課題本は初のコミック。

親のネグレクト等により、いろいろな意味で不健康だった女の子。

個に閉じこもり、つながりどころか、周囲への認識すら事欠いていた。

意思に基づいて、自己の行動を決めることすら知らなかった。

衛生面など、人として要求される基本的問題を解決しようとすら思いつかなかった。


そう、ただ流されるまま、人としてではなく意志のない「物」として生きていた。

そんな彼女が、「いろいろな意味での健康」を手に入れていく物語です。


もちろん、それは自力では不可能なわけで。

気にかけてくれる人、心配してくれる人、守ってくれる人等々がいて、

はじめて可能となる。

(そして、それらとの摩擦も作用・反作用のごとく生じてくる)


さらにこの作品は、愛情とは何かだけでなく、いろいろな方面に関心を開いてくれる物語だとも言えます。


世界認識とは何か。

教育や知識とは何なのか。

教養とは何か。


人とのつながりとは何か。

自己決定や心理的安全性とは何か。

そして、幸福(ウェルビーイング)とは何か等々。


さらに付言すれば、私たちの生活基盤は先人たちの肩の上に載っています。

そういった目には直接見えにくいものを意識せずに受け取って、生きている。

つまり、知らぬ間に多くのものを贈与されているとも言えるわけです。


私たちはその受け取ったものを、時間・空間・対象を変え、

どう活かし後世へ伝えていくことができるのか。

そういった方面への関心も開いてくれる物語でもあるのです。


是非、多くの方に手に取って貰いたい。

そう思わせてしまう本なのでした。



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