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告知文『着眼と考え方 現代文解釈の基礎』読書会(論理的な文章の第4回)

政治・ビジネスの世界に インテリジェンス(intelligence、諜報) という言葉があります。 行間(inter)を読む(lego)というのがそ の本来的な意味。 テキストの読解力がそのベースとなっているようです。 そして見える(読み取れる)箇所から 推論等を駆使し、 その背後に潜んでいる目には見えない現実をも 掴み取っていく。 そんな知的作業でもあるようです、 インテリジェンスとは。(注1) というわけで、 勘の良い方ならば、 もう察しがついているかもしれません。 なぜ、こんな話から入ったのかを。 それは今回の範囲とインテリジェンス。 この両者の間に、 実は関係があるのではないか。 そのような仮説を抱いているからなんです。 トンデモかもしれませんが。 とはいいつつも、 ここはあくまでも読書会の開催告知する場所。 自分の主張を展開すると長くなってしまいます。 話が拡がりすぎるとまずいので、 読書会の話に限定させましょうか。 まず今回の学習範囲は、「Ⅳ 論者について」。 論理的な文章についての学びも、 おかげさまで、いよいよ最終盤。 具体的には、下記の点について学んでいきます ①書き手がどういったものに価値を置いているのか ②書き手の構想を論理的に分析し、その考え方を探る ③書き手自身のベースとも言える世界観・人生観を探求する まず①「書き手の価値の置き方」について。 評論をはじめとする論理的な文章は、 不特定多数の方々に対し、 ある命題を説明し説得することを 意図していることが一般的です。 そしてそれは、 論じる対象となるものの評価と密接不離。 ゆえに書き手の理想や好みの影響を 受けざるを得ないわけです。 そこを探っていこうというのが①の論点になります。 次に②「書き手の考え方」について。 まず一つのまとまった量の文章は、 読者の注意を引く役割りとしての掴み。 論者の最も伝えたいポイントを強調する山場。 そして読み手の満足度を高め (できれば記憶に残すための)オチから構成されています。 どういった要素をどの順番で、 どうメリハリをつけながら展開していくのか。 そして具体例や反論への取り扱い。 さらに、主張の拠り所としての論拠に、 何をどの程度もってくるのか。 そういった諸々のことに配慮しながら書いているのです。 そう。 これら一連の内部構成への配慮には、 論者のたてた構想が反映されているのです。 逆から見れば、 文章の内部構造を論理的に分析することで、 そこに潜んでいる書き手の考え方に アプローチしていけるわけです。 ​そして③「書き手の世界観・人生観」。 「価値の置き方」も「考え方」も、 それらを突き詰めていくと、 論者自身のベースとなっている 世界観・人生観につながっている。 ゆえに、価値の置き方や考え方から推論していき、 論者自身の内奥に潜む根源ともいうべき 世界観・人生観に迫ろうというのがその趣旨となります。 だが、このアプローチ。 見える箇所から、その背後に広がり潜んでいる 目には見えない要素を探り出そうとする点で、 一つの文章だけからは困難をきわめるともいうべきもの。 実際は、ほんの僅かな「さぐり」を入れる。 その程度のことしかできないかもしれません。 そこで求められてくるのが、 同じ論者の他の文章を多数読み込んでいくこと。 例えば「全集」や「著作集」を読むことが それにあたるわけです。 課題本である『着眼と考え方 現代文解釈の基礎』。 この本を読み終えた方ならば、 次のステップとして、 「全集」にチャレンジしてみてはいかがでしょう? そして折に触れてこの参考書と全集の間を、 何度も往復させていけば、 書かれた文章の背後に控えているものが見えてくる。 そんな経験が得られるはず。 以上の提案を皆さんにしつつ、 哲学者である内山節氏が 「個人全集」について語っている文章を 引用してみます。 ぜひ、参考にしてみてください。 「ところがもうひとつ、 作品以上に著者を読むという読みがある。 それは、その著者がどんな思考回路をたどって一生の仕事を成し遂げてきたのかを読む方法である。 この読み方では一人の著者の本が何冊か必要になるし、 「全集」「著作集」「選集」にかなうものはない。」(注2) (注1)『インテリジェンス人間論』(佐藤優、新潮社)      『功利主義者の読書術』(佐藤優、新潮社)       を参考にしております (注2)「kotoba」第20号     〈特集 全集 もっとも贅沢な読書〉」      P95からの引用)





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